夏の涼しきパチンコ屋

今日も今日とて暑かった
こんな日にはプールに入りたくなる
いや、入りたくならない
私はカナヅチだから嫌な思い出しかない

 

運動神経がなく脂肪の少ない体つきも相まって浮き上がることができない
力を抜いても体が沈んでいくのだ
授業中の検定にも受からず、蹴伸びバタ足から上達しなかった
夏休みのプール教室へ行けと言われて家を出されてもただ外をふらついて帰った
嫌なことから逃げるのはこの頃から徹底していた

 

最近パチンコにハマっている
手軽な自傷行為みたい
仕事終わりのパチンコを楽しみに働いている
なにかに依存していると楽だ
それは「自分と向き合わなくて済むから」ではない
意志の弱い自分だからこそ、
嫌なことから逃げてしまう自分だからこそ、
むしろなにかに依存し、力を借りることで初めて自分自身と向き合えるのだ

 

パチンコを打ちながら自分自身と向き合う
パチンコに自分の人生を投影する
勝つことがあれば負けることもある
むしろ負けることのほうが多い
トータルはマイナスだろう
でも勝った経験が忘れられないから
またホールに足を運ぶ
それを依存と呼ぶ

 

生きることは辛い
楽しかった日があれば辛かった日もあって
むしろ辛いことのほうが多い
でも楽しかった日々が忘れられずに生きる
消えたほうが楽かもしれない
健全かもしれない
でもまた楽しいことが起こるかもしれない
いつかこの苦労が報われるかもしれない
そうやって生きることに依存するから
正気を保って今日も生きることができる

 

きっと今日はいい日になる
きっと今日は勝てる
そう思えるから生きることができる
ギャンブルで壊れる人生があれば
ギャンブルで救われる人生もある
私は今日もホールに足を運ぶのだ


、、、

なんてことを考えてたら気づくと諭吉が逃げていた
もう二度と行くもんか
でもきっとまたホールに向かってしまう

何事も依存はほどほどに。